アカハラ

アカハラ  (スズメ目ヒタキ科) 全長23.5cm 留鳥

アカハラ
アカハラ
ハンドボールコート付近
ハンドボールコート付近

ある日、大学の保健センターの掲示板に「アカハラ防止」と大きく書かれたポスターを見つけ、首を傾げました。アカハラのいったい何が悪いのだろう、対策しなければならないほどに多くのアカハラがいて、何か被害が出ているのだろうか?と思いつつポスターに目を通し、ようやく納得。アカハラとは、アカデミック・ハラスメントの略だったのです。

今回ご紹介するアカハラは、もちろん「赤腹」ですが、実は赤っぽいオレンジ色をしているのは「腹」ではなく胸と脇で、腹部は白色です。それでは「アカハラ」ではなく「シロハラ」と呼びたいところですが、同じツグミの仲間にシロハラという鳥がいます。こちらも「白腹」といいつつ、腹部は薄いオリーブ色。アカハラとシロハラでは、全く異なった色合いをしているように聞こえますが、実は姿も色もかなりよく似ていています。冬鳥のシロハラに対して、アカハラは留鳥で、本州中部以北の山地で繁殖し、秋冬には暖かい場所へ移動します。夏の高原では「キョロンキョロン、チリリ」と明るい声でさえずるアカハラの声がよく聞かれます。

学内では冬場にも時折姿を見ることがありますが、春の移動の際に立ち寄ることが多いようです。昨年4月、ひょうたん池の奥のハンドボールコートの付近から美しいさえずりがしきりに聞こえるので姿を探したところ、10羽近くものアカハラがいました。群れで繁殖地へ移動する途中だったのでしょう。たくさんのアカハラが競って自慢ののどを披露してくれるのに聞きほれて、あやうく講義に遅れるところでした。

言語社会研究科修士1年 中野晶子