ちょっと「大人になったな」と思った出来事/ 経済学部4年 堀田智帆
題名の通り、最近気付いた自分の些細な変化について書こうと思います。
9月の帰省で、父と晩酌をしながらyoutubeでお互いのお気に入りの曲を紹介しあっていた時のことです。
父が「一日中聴いても飽きない名曲」として、高橋真梨子さんのfor you..という曲を聴いてみようと提案しました。
ところで、私は昔からその曲をよく知っていました。
というのも、まだ自分専用の音楽再生コンポを買ってもらう小学生の頃、父は休日になるといつもこの曲を家で流していたのです。
当時小学生だった私は、そもそもタカハシマリコなんておばさんだし(ファンの方々、失礼な表現をお許し下さい。)歌声も歌詞も聴いているこっちが恥ずかしくなりそうなくらい熱烈だし…で、何度も聞いていたために記憶には鮮明に残っていながらも、「よくわからない曲」ということで、それ以来一度も聴いたことはありませんでした。
未だにあの曲を聴いているのか、と少々面食らいながらも私は父は一押しのライブ・バージョンの動画を一緒に見ることにしました。
そして、曲が始まって驚いたのは、 小学生の私が「よくわからない」と素通りしていた、歌詞・メロディー・歌声その全てが鮮明にストーリーを伴って今の自分の中に入って来たことでした。
歌詞に出てくる酒のエピソードなどが大学になって随分と身近になったからかもしれません。しかし、何よりも私が感銘を受けたのは、サビの歌詞でした
「・・・あなたが欲しい、もっと奪って心を・・・」
私が今まで聞いてきたラブソングは、ほとんどが「私はあなたが好き」という一方向の気持ちが全面に押し出されていました。ところが、この曲のサビには、その一方通行から更に進み、相手からも求められてこそ自分の気持ちが満たされる、という思いが強く込められているのでした。成熟した大人の恋の形とは、この歌のようなものなのかしらん、いつか身を持ってわかる日が来るのかしらん、 ぼんやりとそんなことを考えながら8年ぶりのfor you..を父と並んで聴きました。
「バックの演奏してるのは、高橋真理子の旦那さんのバンドやねんでえ。やからこんなにその歌声を引き出せる素晴らし曲ができたんや」と話す父の言葉を聞きながら、 こんな歌詞が書ける高橋真梨子さんは一体どんな恋愛をしてきたんだろう、そしてこの曲を好きだという父のことやこの曲の良さがわかるようになった自分のことなど、いろんなことに思いが及びました。
中でも一番嬉しかったのは、 普段は話さないような父の恋愛観なんて恥ずかしい話題に関して、「同じ曲が好き」ということで、以前よりも父と心通わせることができたように思えたことでした。
このちょっとしたエピソードを後日3歳年下の妹にしたところ、 「へえ、お姉ちゃんは音楽の守備範囲が広いねえ。」という一言で終わってしまいました。 ちょっと拍子抜けでしたが、いつか一緒に話せる日を気長に待とう、と思ったのでした。
拙い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 この曲をご存知の方、そうでない方も、「これはこういう解釈だよ!」といったご意見があったら是非教えて下さい。そこからまた広がっていく気がしております。
以上