「国立に住んで、母校について思うこと(植樹会初参加記)」奥村太久実(昭61年経)
一昨年、卒業25周年の同期懇親会会場で植樹会に入会し、ようやく今回定例作業に初めて参加させていただきました。植樹会に関してはこれまでほとんど知識がなく、最近ホームページを拝見して、初めて植樹会がキャンパスの緑化維持推進に大きく貢献していることを知りました。昭和48年に創設された歴史ある会であるとのこと、諸先輩方の母校の環境維持整備にかける想いや熱意に対して改めて深く感じ入ります。
当日は30℃を超える晴天。職員集会所付近の雑草抜きや樹木伐採、刈り込みなどに従事しました。この分野の技能も経験も有しない私は率先して雑草抜きに取り組みました。教職員、OB、学生総計100名近くという大人数にもかかわらず、極めて効率よく分担され、見事なチームワークで作業が進められた結果、1時間半ほどで見違えるほどに整備されました。終了後の交流会ではよく冷えたビールや軽食、そして今回は手作りのお団子までご用意いただき、先輩方や学生達との懇談は大いに盛り上がりました。この交流会があることにより作業のモチベーションアップが大いに図られていると思います。
私は平成7年に国立市に転入してまいりました。まだ小平分校が国立に移転してくる前で、一橋大学のキャンパスは市民にとって憩いの場でした。ジョギングする人、犬を散歩させる人(これは現在は禁止されています)、ベンチで読書する人、絵を描く人。放課後には子供たちがやってきて鬼ごっこやかくれんぼ、サッカー、野球を楽しみ、とりわけ人の少ない東校舎は格好のプレイグラウンドと化していました。我が家の3人の子供たちも学内で自転車に乗れるようになったほどです。
キャンパスの美しさは、申し上げるまでもなく“梅ちゃん先生”を筆頭に、数々のドラマや映画においてロケの舞台になっていることからも自明です。また、国立に在住された作家の山口瞳さんは国立という地名を全国に知らしめた功労者の一人であると思いますが、エッセイの中でキャンパス内で写生をしたことや、散歩中に構内に立ち寄って季節の移ろいを感じたことなどを綴っています。同じく国立市在住の嵐山光三郎さんも、「・・・大学通り左側の東校舎へ入った。門をくぐって正面に、大きな紅梅の木がある。国立で一番早く咲く梅の花である。山口さんはこの梅が好きで、よくエッセイに登場してきた。」(山口瞳の人生作法より)、と書かれています。
このように、一橋大学は単に各界で活躍される人材を輩出している伝統ある大学であるというだけでなく、地元民の憩いの場・生活の一部であり、美しい自然が残る “わが街“の誇りでもあります。自然に恵まれたこの美しいキャンパスを維持することは市民の願いでもあるわけですから、植樹会の活動は地元からも大歓迎されるものであると思います。
さて、後日談ですが、2日後に猛烈な筋肉痛に見舞われました。普段使わない部位を動かすことで筋力増強の効果もあったようです。また、一心不乱に雑念を消し去って作業に没頭したためでしょうか、その後数日間は集中力も増したような気がします。心身ともにリフレッシュできる素晴らしい活動です。税理士という職業柄平日は都合をつけやすいため、今後もできるだけ植樹会の活動に参加させていただきたいと思っております。