寄附講義「緑の科学」を受講して/社会学部4年 有上ひとみ

今年初めての試みとして、一橋植樹会による寄附講義「緑の科学」が開講されました。

前半期は、東京農工大学名誉教授の福嶋司先生によって講義が行われ、日本や世界の植生、森林が果たす役割、そしてそれらを踏まえた上での緑の管理などについて学びました。
その中で私が特に興味を持ったのは、「森林の防火機能」というトピックでした。 植物の中には防火性を持つものもあり、大火災に備えるために(関東大震災における最大の脅威は、その後の大火災でした)適切な木々を利用した都市環境づくりが必要であるというお話でした。「木=よく燃えるもの」という思い込みをしてしまっていたほどに理科系に疎い私には、新鮮な内容でした。
福嶋先生による講義の最後では、一橋植樹会が実際に行なっている大学内での緑の管理計画について説明があり、さらに大学構内の緑を見て回るキャンパスツアーも行われました。普段は立ち入らないようなグラウンドの裏側にある様々な緑を廻ったり、普段何気なく目にしている木々の裏話などを聞いたりすることができました。私と同じグループでキャンパスを周っていた学生たちも、今まで知らなかった一橋大学の一面を知ることができ、楽しげでした。

この講義を通して、学生が一橋植樹会の活動に対して、ある程度の知識と興味を持つことができたのではないかと思います。私自身も、学生理事として定例作業にいつも参加していますが、今回の講義を経て、植樹会への理解がさらに深まったように思います

後半期は、如水会事務局長である関統造先生によって、緑とエネルギーについての講義が行われました。
水力、太陽光、バイオ燃料などの自然エネルギーに対する関心が世界中で高まっています。特に原発事故以後は、日本でもその傾向が強いと思われます。その中、自然エネルギー利用の現状がどのようなもので、どんな可能性や限界があるかを学びました。

文系の単科大学である本大学ではあまり聞くことのできない、理科系の内容の講義を聞くことができたのは、良い体験だったと思います。
大学では、文系は文系の勉強、理系は理系の勉強、とまるで分業のような教育が行われていますが(特に本大学はその傾向が強いように感じます)、実際に社会で有用となるのは、 文系・理系の枠にとらわれない知識であるということに改めて気付かされました。

来年度以降もぜひこのような講義が継続していけばと思います。