「緑の科学」ご報告 / 商学部3年 荒川愛子

まだまだ厳しい寒さは続いておりますが、春の訪れを待ち遠しく感じる季節となりました。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。学生理事を務めさせていただいております、商学部3年の荒川と申します。この度は、一橋植樹会による寄付講義「緑の科学」についてのご報告をさせていただきます。

「緑の科学」は、例年学生から人気の高い講義ですが、講義中に行われる作業での安全確保の必要性もあり、受講生の人数を制限する抽選科目となっております。学生理事からも落選が相次ぎ、今年度は学生理事からの受講生は私のみとなってしまいました。人気がありすぎるのも困ってしまいますね。今年度は秋冬学期での開講となり、座学を中心としつつ、キャンパスツアーやキャンパス内での環境整備作業、フィールドワークなども行われ、学生が能動的に講義に参加し、緑や自然に関する理解を深めることができました。

講義はキャンパスツアーから始まりました。「緑の回廊」を片手に、東西の各キャンパスを隅から隅まで時間をかけて回り、植樹会理事の皆様からのご説明を受けました。学生はそれぞれ4人の班に分かれ、班に1人ずつ理事の方が説明役としてついてくださったため、少人数でじっくりお話を伺うことができました。キャンパス内で育つマツやサクラなどを観察し、それらの植物に関する知識はもちろんのこと、大学の建築物の装飾や歴史についても詳しく教えていただきました。特に私が印象に残ったお話は、キャンパスの建築物の配置についてです。当初は、門からキャンパスに入っていき、池を通して見たときに最も美しく見えるような配置で建てられたそうですが、現在は池の周辺に植えられた木々があまりにも成長してしまい、池の向こう側の建物が見えなくなっているとのことでした。植える植物の種類も配慮しなければいけなかったのですね。

キャンパスツアー以外にも、教室の外でキャンパス全体を使って行われる講義が続き、第2回以降の講義では、建物や樹木の計測作業が行われました。段ボール・ビニールひも・はさみ等の簡単な道具だけを用いて、班ごとに計測方法を工夫して試行を重ねましたが、文系大学ではなかなか経験できない貴重な体験であり、学生もみな苦労していました。計測対象とする樹木を探す過程においては、キャンパス内の緑の豊かさに改めて気づかされました。そして台風が直撃した翌日の講義では、台風の影響で発生した倒木や建物への被害を観察して回りました。当初の講義内容には含まれていなかったことと思いますが、自然の脅威を目の当たりにして衝撃を感じるとともに、倒木のエネルギーの大きさを実感する体験となりました。

講義の後半ではさまざまなテーマでの座学が行われました。植物の色素や植物と緑の関係、植物の進化、植生管理と防火などをテーマとした講義では、一般的な植物や緑に関する知識を習得しました。また武蔵野の雑木林と自然、一橋大学の緑と鳥など、大学と地域に特化したテーマの講義は、ここでしか知り得ない情報がたくさん詰まったものでした。そして座学に加えて、緑の環境維持作業の実践としてフィールドワークも行われました。学生理事の私にとっては、普段の定例作業と変わらない作業でしたが、その他大勢の学生にとっては珍しい経験になったのではないかと思います。学生にはまだまだ浸透していない植樹会の取り組みについて、より多くの方に知っていただける機会となったことを嬉しく思います。

以上をもちまして、今年度の「緑の科学」についてのご報告とさせていただきます。