キセキレイ

キセキレイ (スズメ目セキレイ科) 全長20cm 留鳥

キセキレイ
キセキレイ
ひょうたん池付近
ひょうたん池付近

冬のある日、経済研究所の北側でモズを見ていたときのことでした。双眼鏡で覗いていると、そのモズは何かエサを採って林の奥へと消えました。そのすぐ後、飛び去った方角から「チチチッ、チチチッ」と、ハクセキレイにしてはどこか調子はずれな声が聞こえてきました。モズは他の鳥の鳴きまねをしますので、「ああ、さっきのモズがハクセキレイの鳴きまねしているんだろう、それにしても下手だなあ。」と思って聞いていますと、1羽の鳥が近くに飛んできました。長い尾、モズとは似ても似つかぬスマートな体つき、そして目に残る黄色。これがキャンパス内でのキセキレイとの初めての出会いでした。その後もひょうたん池付近で何度かその美しい姿を見ることができました。

キセキレイとハクセキレイは、似たような鳴き方をしますが、キセキレイの方が若干金属的な声をしています。スマートな体で、長い尾をしきりに上下に振るところはどちらも同じで、キセキレイはその名の通り腹部が黄色、背中や顔が灰色です。英名ではGrey wagtailで、Yellow Wagtailといえば別のツメナガセキレイのことを指します。

私にとってのキセキレイのイメージは、「渓流・清流の鳥」というものだったため、この出会いは大きな驚きでした。図鑑で調べてみると、やはり川の上流部に多いようですが、平地から標高2000メートル以上の高地にまで生息し、水辺があれば市街地でも見られることがあるそうです。特に冬場は、積雪地・高地のものは暖かい場所へ移動するそうなので、この個体も越冬に来ていたのでしょうか。カワセミにしろゴイサギにしろ、キャンパス内の小さな水辺を見つけ出して、たくましく利用する鳥たちには脱帽するばかりです。

言語社会研究科修士1年 中野晶子