メジロ
メジロ (スズメ目メジロ科) 全長11.5㎝ 留鳥
うぐいす餅色の体、しかしウグイスではありません。メジロです。色の本を調べてみると、「鶯色」のほかに「鶯茶」という暗い褐色がかった黄緑色があります。この鶯茶こそが本当のウグイスの色で、鶯色はメジロ色と言い換えたほうがぴったりくるような気がします。昆虫食のウグイスは梅の木に来ることは少ないですが、このメジロは大の甘党で花の蜜や果物が大好物、梅や桜の開花のニュースに姿を現すのは大抵この鳥です。甘いものばかりを食べているせいではないのでしょうが、鳴き声まで「チィー」と甘い声を出します。
酒井抱一の十二ヶ月花鳥図貼付屏風の十月「柿に鳥図」(出光美術館所蔵)には、たわわに実をつけた柿の木に止まるメジロが描かれています。3羽が身を寄せ合って「目白押し」をしているところで、なんとも愛らしく鳥好き心をくすぐります。実際に、メジロはつがいや家族で押し合うようにして枝に止まることがあり、これが「目白押し」の語源となったようです。
学内では東西キャンパスともに一年を通じて見ることができます。ただ、体重わずか10gの小さい緑色の体は、若葉が萌えだす前の方が見つけやすいでしょう。「チィー、チィー、チュルチュル」という声を頼りに探すのもよいですが、梅や桜、椿を愛でつつ、花に顔を突っ込みにくるメジロを待つのも風流です。冬場はシジュウカラやエナガと混群を形成していますから、シジュウカラを追いかけていると観察できるかもしれません。また、実をつけた柿の木を見張っていれば、ほかにも多くの鳥が見られるでしょう。昨年、キャンパス内で見つけた柿の木にもヒヨドリ・シジュウカラ・オナガ・ムクドリなどがひっきりなしに来ていました。植物に詳しい友人に聞くと、その木は渋柿とのこと。長年付き合っていても、鳥の味覚はわかりません。
法学部3年 中野晶子