アオゲラ (キツツキ目キツツキ科) 全長29cm 留鳥
アオゲラの学名はPicus awokeraといいます。私はラテン語が読めませんが、この名前を見て首を傾げました。後半部分(種小名といいます)をローマ字読みすると「あをけら」。アオゲラは日本特産種なので日本での呼び名が正式名称となったのでしょう。学名の前半部分(属名)「ピクス」は、ローマ神話の田園の神の名です。サトゥルヌスの息子ピクスは魔女キルケーの求愛を退けたためキツツキに姿を変えられてしまったという話があります。ちなみに、日本には「キタタキ」というキツツキはいましたが、「キツツキ」の名を持つキツツキはいません。ほとんどが「ゲラ」の名ですが、これは「ケレケレ」というアオゲラ・アカゲラの鳴き声から「ケラ」と呼ばれるようになったものです。
タラララ…と木をつついて音を出す行動をドラミングといいます。これはさえずりを持たない鳥の、鳴き声に代わる繁殖行動なのだそうです。1秒間に約18回もつついていたという研究があり、どうして脳震盪を起こさないのか不思議になります。頭部の構造が衝撃を分散するようにできているからですが、口の悪い人は「脳震盪を起こすほどの脳がないからだ」などと言います。実際、キツツキの脳は0.1g足らず~0.5gだそうですから、あながち根拠のない悪口とも言えないかもしれません。
小杉放菴の「梅花小禽」(出光美術館所蔵)には、梅の古木に止まる飄々とした雄のアオゲラが描かれています。実は、この絵とよく似た状況が一橋大学内でも見られるのです。梅ではなく、花盛りの古い桜の木に止まるアオゲラを見られるのは、西キャンパスの経済研究所の北側の森です。運がよければ同じ木に雄と雌が一緒に止まっているのを見ることもできます。留鳥なので一年中観察できますが、キツツキ類は木の幹に止まりますので葉の茂っていない季節、ちょうど桜が散る頃までが見つけやすいでしょう
法学部4年 中野晶子