「椅子」商学部3年 下田康太
一橋大学商学部三年の下田康太と申します。
花火、海、風鈴と私たちに夏を感じさせてくれるものは多くありますが、真っ先にそれを感じさせてくれたのはふとした時に座ったキャンパス内の椅子でした。太陽を見つめた椅子は熱を帯び、図書館の居心地のいい椅子に座っていた私が慣れるには多少の時間がかかりました。
さて、近頃私の周辺で耳にする話題は専ら就職活動のことです。幸か不幸か私の友人には明確な目標を持って活動している者が多く、焦燥感を覚えることもあります。
きっと彼らの中には確固とした目標をもって日々の自己研鑽を行う「逆算思考」が強く働いてるのでしょう。しかし、高校生のころに思っていた大学生活と実際の大学生活が異なるのと同様に、大学生が想像する就職後の生活は実際のものとは異なるのだろう、と思うと明確と言えるほどの逆算思考は難しいと感じていました。
最近その悩みを解決してくれたのが「順算思考」というものです。自己実現を肯定的に捉えていくという考え方ですが、決して成り行き任せということではありません。将棋のように最終的には勝つことを目標にして、状況に応じて打ち手を変えていくのです。例えば人生において自分と周囲の幸福という漠然としたものでも良いから目標を持ち、とにかく自己研鑽を重ねるといったようなものも順算思考の一つでしょう。
これまでの生活は文化祭実行委員としての活動、サークル、講義といったものが中心でしたが、三年生になってからは本学の学生の軸でもある後期ゼミが新たに加わりました。私の所属するゼミは内容もさることながら活動時間も多く、励んではいるものの、私自身が「ゼミ生」と言えるようになるにはもう少し時間がかかりそうです。
もしキャンパス内で椅子に座っているのを見かけたら、私が慣れたころに声をおかけください。