「全天候型公認グランドへの改修工事完了」一橋陸上競技倶楽部 会長 青木俊樹

1926年(大正15年)6月、一橋大学陸上競技部関係者の「明治神宮と同程度のグランドを」という強い要望を受けて実現した国立キャンパスの400Mトラック。一橋大学の400Mトラックは90年弱の歴史を有する極めて立派な由緒ある名門グランドである(陸上競技部誌より)。その名門グランドが、本年4月に、新しく全天候型ポリウレタン舗装のグランドに生まれ変わった。OB会からの寄付を中心に完成した国立大学としては大変素晴らしい全天候型のグランドである。
そもそもの発端は、2009年秋、翌年10月に公認期限(公認グランドの検定期間は5年間)が到来するグランドの公認検定を巡る議論であった。大学側からは、予算の関係から今後公認を継続することは難しいとの非公式な方針が示された。関係者の陳情もあって2010年10月の公認継続は何とか認めてもらえたが、今後のことを考えると公認継続は難しく、折角の立派な400Mトラックが荒れてしまう怖れがあった。こうした流れの中で、次回公認検定(2015年)までに何とか費用のかからない時代にマッチしたグランドへ改修できないものかと立ち上がったのがOB会の「一橋陸上競技倶楽部」である。
2010年6月には「グランド改修検討委員会」を立ち上げ検討を開始し、その検討結果を翌2011年3月のOB総会に報告。多くの会員から全天候型グランドへの改修工事に賛同を頂いた。それを受けて、「グランド改修検討委員会」を「グランド改修推進委員会」へと改組し、工事具体化に向けてスタートを切った。最大の課題は資金計画で、工事費用と寄付金額との整合性を実現可能なように作成することであった。工事費用は倶楽部が前面に出て業者からヒヤリング。質実剛健なグランド作成に必要と考えられる金額をはじき出し、同時に資金集めの具体策を策定。同年9月には「グランド改修推進委員会」を母体とする資金集め体制を構築し、翌2012年1月から2015年3月末までの3年強の期間をかけて5000万円+αの募金を集めることにした。この間、随時大学側関係者に状況報告し、工事開始に向けての学内の地均しをお願いし続けた。
他方、全員参加を標榜しつつOB倶楽部会員には丁寧に状況等を説明。このために度重なる説明会を開催した。席上、賛否両論が噴出し、激しく議論が戦わされたこともあった。しかし、最終的には会員総数500名弱の倶楽部ではあるが、関係者を含め280名の方から5800万円余の寄付金を集めることが出来、倶楽部基金等を合算し初期の計画を上回る寄付金を確保した。消費税増税前の慌ただしい時期ではあったが、この道の第一人者日本体育施設(株)が落札、2013年11月末から工事開始し無事本年3月末に完成の運びとなった。
工事の最終段階ではグランド周辺の樹木の剪定・伐採が課題となった。現状のままでは落ち葉によるグランド毀損が懸念されたため、大幅な樹木の切り落としが必要であった。植樹会の皆さんには大変貴重なご意見を頂いた。改めて感謝申し上げたい。
インフィールドに松と桜が重なり合って生息している(昔は松のみであったが何時しか桜が共生)のが一橋グランドの特色であった。このような公認グランドは他になく、陸連関係者の間で有名な話となっているばかりでなく、我々が現役のころには「バテ松」と言って、第4コーナーで絶えず見守ってくれた懐かしい松の木であった。その松の木が存続困難として伐採撤去されたのは残念なことであった。我々OB世代からすると一抹の寂しさを禁じ得ない。
5月26日にはお世話になった方々による「グランド完成お披露目会」のテープカットが行われた。参列頂いた山内進学長からは関係者の努力に対し感謝の言葉が述べられ、グランド改修推進委員会会長でもある松本正義如水会理事長からは現役諸君への激励の言葉が述べられた。併せて、日本体育施設(株)の奥裕之社長や植樹会の八藤南洋会長のご出席も賜り関係者の方々から完成を祝って頂いた。厚く御礼申し上げたい。
現役諸君には、完成した全天候型グランドをこれからも大切に扱っていき、実力向上に役立てて頂きたいと願うと同時に、植樹会の皆さんには引き続き息の長いサポートをお願いしたい。

公認検定証です。
1950-60年代の写真から