「野川と湧水を辿る」学生理事 田島壮一郎(社会学部4年)
こちらへの寄稿は2度目となります、一橋大学社会学部の田島壮一郎です。
今回はOBOGの皆様とともに植樹会の学外研修に参加させていただきましたので、その感想レポートを寄稿したいと思います。
前回の寄稿も自然薯についての話でしたし、私の植樹会体験は「面白さ」で充ちているようです。
今回の学外研修にあたっては、川崎さん(S46)・高橋さん(S50)と一緒に下見ツアーをさせていただいたこともあり、「予習はカンペキ!」という思いで、当日は残念ながら川崎さんが欠席されてしまいましたが、高橋さんと共に気合を入れて参加しました。
さて、10時に西国分寺駅を出発し、まず武蔵国分寺公園にて「武蔵野」という言葉の由来や植生、公園内の樹木について、視覚・触覚・味覚を使ったわかりやすいレクチャーを福嶋先生からいただきました(エノキの実を皆で食べましたが、後に新次郎池で食べたムクノキと比べるとあまり美味しくはありませんでした…)。また、お鷹の道に下る途中で国分寺・小金井を東西に横切る「国分寺崖線」についての説明もしていただきました。この崖線は、国立・府中の南を流れる多摩川が長い年月をかけて作り出した河岸段丘であり、また多摩地区そのものが多摩川の大きな扇状地となっているそうです(文末にキーワードリストを載せてありますので、詳細は各位にてお調べください)。このように、今回の学外研修は、この崖線が作り出す「ハケ」と呼ばれる地形を巡るコースとなっています。
次に、野川の源流として最大の「日立製作所中央研究所」の庭園を訪れました。研究所内は当日が年に2度しかない庭園開放日ということもあり、お祭りのように賑わっており、参加者もこちらで昼休憩をとりました。様々な樹木の生える庭園内を福嶋先生に解説していただきながら一周し、次の目的地である殿ヶ谷戸庭園へ向かいました。殿ヶ谷戸庭園は国分寺駅南口からすぐ近くにあり、都立9庭園の1つとしても知られています。ハケ独特の地形を利用した庭園や池について見学したあと、一橋大学西キャンパスにもある秋の七草について山上憶良の歌と共に説明していただきました。また、庭園から少し東へ進んだところに崖線が露頭している部分があり、こちらも福嶋先生に解説していただきました。
さて、東京経済大学の新次郎池に寄り道し、ムクノキの実を試食した後は、いよいよタイトルにもある野川に出ました。ここではまだまだ小さな川幅ですが、二子玉川で多摩川と合流するまでに細かな湧水や仙川が合流するなどして、だんだん広く大きくなっていきます。川の源流というと山奥といったイメージがありますが、野川は住宅街の間にその源流があるという点が武蔵野の地形の面白さです。
その後は、貫井神社、滄浪泉園とそれぞれ湧水を巡りゴールである武蔵小金井駅に到着いたしました。夜の宴席では、福嶋先生監修の「確認テスト」も行われ、私も一緒に頭をひねらせ、その日の復習をし、楽しい締めくくりとなりました。
さて、私は高校時代に地学部として活動していたこともあり、今回のような企画は大好物ということで下見・当日ともに最大限、楽しませていただきました。特に、野川や武蔵野の地形は、河岸段丘や扇状地、礫層、関東ローム層など「受験用語」として学んできた知識が実物の形であちこちに転がっており、フィールドワークには打ってつけです。
ところで、一橋大学はいわゆる「社会科学」の大学ではありますが、入学試験の配点などを見ると、決して「自然科学」が無用というわけではありません。今回は学生参加が、学生理事の古川さんと私の2人ということでしたが、せっかく国立キャンパスから自転車で20分という近くにこんな楽しみが転がっているんです。他の学生の皆さんも、社会科学の勉強の息抜きで結構ですので、ぜひ、武蔵野の自然、一橋大学の自然に目を向けてほしいなと思います。
末筆となりますが、終日解説をしてくださった顧問の福嶋先生、また企画・幹事をしていただいた川崎さん、高橋さんに改めて御礼申し上げます。
参考資料:
ルートは当日追加分も含め、
西国分寺駅
武蔵国分寺公園
お鷹の道(武蔵国分寺跡・真姿の池)
日立製作所中央研究所
殿ヶ谷戸庭園
新次郎池(東京経済大学内)
野川
貫井神社
滄浪泉園
など約10ヶ所を訪ね歩きました。
また、今回の学外研修では福嶋先生のご指導の下、
・国分寺崖線(ハケ、立川面、武蔵野面、関東ロ-ム層、礫層、扇状地)
・ニレ科(ムクノキ、エノキ、ケヤキ、鋸歯)
・どんぐり(クヌギ、コナラ、カシ、シイ)
・湿った地形とミズキ
・竹(真竹、孟宗竹、淡竹、矢竹)
といったキーワードについても学ばせていただきました。s
この寄稿を読まれた方は、以上も併せて検索されると理解が深まるかもしれません。