「永くつないでいくもの」経済学部3年 菅原 創

秋も深まり朝晩はだいぶ涼しく感じられる季節になりましたが、皆様お変わりなくお元気にお過ごしのこととお喜び申し上げます。この度の寄稿文を担当させていただきます経済学部3年の菅原創と申します。
10月に入りキャンパス内の木々も美しい紅葉を見せ始めていますが、最近悲しい出来事が起きました。皆様もご存知の通り、9月末に襲来した台風24号の影響は凄まじいものがあり、キャンパス内の木が崩れて建物に倒れかかるという事態が発生いたしました。今年の台風発生数やその勢力は歴代でもトップクラスで、その原因は地球温暖化に伴う海面水温の上昇や偏西風の東側への拡大とのことです。祝日や創立記念日にも授業を行う当大学ですが、さすがにこの度は午前中の授業を全面的に休講にすることからもその被害の大きさが伺えました(笑)。
そのような異常事態を受けまして、私は改めて自分が所属している植樹会という存在の不可欠さを感じています。一橋大学はその長い歴史とともにキャンパス内の豊かな自然を育んできました。植樹会を軸とした諸先輩方のたゆまぬ努力のお陰で、全国でも注目されるキャンパスの美しさが維持され、私たち在学生はそんな環境の中で学生生活を送れるわけです。しかし入学して3年、日々通うことが当たり前になってきたいま、そのキャンパスの美しさに対しても、当たり前を感じてしまっている自分がいることに気づきました。なくなってしまって、壊れてしまって、初めてわかる大切なもの。それは親や友達といったものはもちろんですが、ひとりの一橋生としては、「美しいキャンパスの環境」を挙げられるでしょう。長い歴史を経て築き上げてきたこの環境は維持していくのも大変です。人工的な建物と違って、気候によって変化していく魅力を持っている自然は、一度壊れてしまったらその再生は容易ではありません。一橋植樹会はその再生・維持を支えている存在であり、今回の一件はその不可欠さを再認識する機会となりました。
植樹会はOBOGの先輩方と在学生が同時に活動するという意味で、学内の中でもとても稀有で貴重な団体だと個人的に思っています。卒業されてからも実際に活動に参加していただける構造からも、一橋生のキャンパスに対する愛が他の大学以上に強いことが伺えるはずです。植樹会に入ってから、私はキャンパスの自然が先輩方からリレー方式で永くつながれてきたものであるということを強く感じるようになりました。そのような先輩方からの想いを噛みしめながら、環境保全に携われる誇りを持って、今後も植樹会学生理事として精進してまいりたいと思います。そしていつまでも愛されるキャンパスにしていくために、今後とも皆様の御協力をお願い申し上げます。