ハシボソガラス

ハシボソガラス  (スズメ目カラス科) 全長50cm 留鳥

ハシボソガラス
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全域
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「ハシボソ」ガラスといっても、嘴はあまり細くありません。ハシブトガラスに比べるとやや細いのは確かですが、それでもかなりがっしりとした嘴をしています。両者を見分けるには、額の出っ張り具合を見るのがよいでしょう。額が出っ張っているのがハシブトガラス、額から嘴にかけてのラインがなめらかなのがハシボソガラスです。東京都内で見られるカラスのうち9割はハシブトガラスだと言われますが、国立ではハシボソガラスもごく普通に見られます。ハシブトガラスが「都会のカラス」のであるのに対し、ハシボソガラスは「田園のカラス」であることを考えれば、国立の自然の豊かさを象徴しているのかもしれません。

カラスは油ものが大好きです。生ゴミのみならずプラスチックゴミなども漁るのは、容器に残っている油脂分を狙ってのことなのだと思います。大学内でもこんな光景を見かけました。ある冬の日、一羽のハシボソガラスがせっせと何かを落ち葉の中に埋めているのに遭遇しました。辺りをしきりに窺っては一心不乱に落ち葉を積み上げているのです。飛び去ってから、こっそり掘り出してみると、なんとそれは中身が残ったマヨネーズのボトルでした。エサの採れないときに備えてのことなのでしょう。私は手にしたマヨネーズのボトルをゴミ箱に捨てようかどうしようか迷いましたが、いかにも嬉しそうにそれを隠していたカラスの様子を思い出して、そのまま落ち葉の山の中に戻してしまいました。数日後に同じ場所を見に行ったところ、既にボトルは無くなっており、カラスの記憶力の良さにも感心させられたのでした。

言語社会研究科修士2年 中野晶子