ハシブトガラス
ハシブトガラス (コウノトリ目サギ科) 全長57.5cm 留鳥
ゴミ漁りをするハシブトガラスを見ていて、「彼らはゴミが臭くはないのだろうか?」と不思議に思っていました。犬や猫は嗅覚が非常に優れていますが、鳥類の多くは視覚主体に生活していて、嗅覚はさほど発達していないそうです。ですから、真夏でも元気に食料を求めてゴミ袋を食いちぎっているというわけなのです。
現代の我々にとっては、カラスというと風流さの欠片もないように感じてしまいますが、実は日本画にはしばしば登場しています。金屏風の全面に、群れるカラスだけを描いた作品もあります。いかに墨一色で体の立体感を出し、単調にならずに画面をまとめるかが画家の腕の見せ所なのでしょう。
そんな実は風流なカラスですが、大学内ではハシブトガラス・ハシボソガラスともに普通に見ることができます。黒一色で暑苦しいような彼らも、よく見ると羽に美しい金属光沢があったり、出会うカラスが皆、暑さのあまり口を開けていたりするのを見ると、何となく微笑ましく愛らしく思えてきます。
言語社会研究科修士1年 中野晶子