ヤマガラ (スズメ目シジュウカラ科) 全長14cm 留鳥
よく晴れた冬の日には、大学の森でバードウォッチングを楽しんでみてはいかがでしょうか。バードウォッチングというと早朝からとのイメージが強いと思いますが、早起きをしなくても出会える鳥たちはたくさんいます。冬のカラ類の混群もそうです。午後からでも落ち葉を踏みつつ学内をぶらぶら歩くと、必ずどこからか「ツピー、チーチー」と騒がしい一群がやってきます。暇つぶしには彼らに付き合ってもらうのが一番。せわしなく動き回る彼らを、どんな鳥が何羽いるのか把握しようと追いかけるうちに、あっという間に時間は過ぎます。
混群の常連はシジュウカラです。数も多く地面近くにいるので見つけやすい鳥です。「ジュリリ」とささやいてくるくる動き回るのがエナガ。「チー」とか「キュルキュル」という声がすればメジロも混じっているはずです。「ギィー」と鳴きながら少し遅れてついていくのはコゲラ。運がよければ「ニーニー」という鼻声も聞こえてくるでしょう。この声の主こそがヤマガラです。寒色系の日本のカラ類の中で唯一暖色のヤマガラですが、他のカラ類と同じようにお洒落な色をした愛らしい鳥で、バードウォッチャーの中にもファンが多いようです。しぐさも愛らしく芸達者で、昔は神社の境内でおみくじを引いていたとか。器用な鳥で、ドングリやエゴノキの堅い実を足で押さえ、嘴で上手に割って食べます。
ヤマガラは大学内では越冬だけらしく、年によって数はまちまちのようです。昨年は数が多かったため、学内の至るところでこの鳥に会えました。ある日、東本館の脇でコンコンという音がするので、コゲラかなと思い探していると、ハクウンボクの実をつついているヤマガラでした。枝から垂れている実にとびついてくわえては枝に戻り、足で押さえてつついている姿は「うっ、かわいい」と、思わず息が詰まってしまうほどでした。ヤマガラは、10月下旬から11月にかけてが最も活発で、人目も気にせずメジロやシジュウカラたちと餌をとっています。今年もたくさん来てくれるでしょうか。
法学部4年 中野晶子