2023年12月9日(土)学外研修

今回の学外研修では初冬の加住丘陵と滝山城趾を含む都立滝山自然公園を訪れました。

風もなく穏やかな晴天に恵まれ、朝9時過ぎに総勢17名が拝島駅改札口に集合し、路線バスで多摩川を越え、秋川を渡ったところで下車し、先ずは高月城址へと向かいました。
ご同行いただいた福嶋先生(東京農工大学名誉教授、一橋植樹会顧問)のご説明ではこの丘陵は70万年前に隆起してできたとのことで、登坂途中では大学構内では見かけない丘陵地の植物について解説いただきながらの散策でした。丘陵のところどころで季節外れの花をつけていたヤマツツジ、黄葉したコアジサイ、アラカシ、アオハダ、牛の鼻輪にしたというカマツカなどが印象的でした。
下山後は東側の麓の圓通寺を訪れましたが、本堂は終戦直前に米軍の爆撃で焼失し、昭和58年に再建された由、戦争の爪痕を物語っています。

その後、稲刈りも終わった周囲の水田を横目に秋川と多摩川の合流点付近の土手を南に歩き、滝山城址へと向かいました。合流点付近の河川敷には広い竹林が広がっており、福嶋先生から「これは護岸のために人工的に植えられたもので、各地に見られます」とのご説明で、少し歩くと海岸でよく見かけるテトラボッドが整然と並んでおり、改めてご説明に納得した次第でした。

滝山城址は平成29年に続日本の名城100選に選定されたとのことですが、本丸址、中の丸址、二の丸址、三の丸址、家臣屋敷址や大規模な空堀など、予想以上の規模と素晴らしさでした。ここで昼食休憩を取った後、深い空堀の縁を歩き、刑部屋敷跡にて黄葉・紅葉の仕組みについて福嶋先生からご説明いただきました。
気温が下がると落葉の準備として、葉の根元と枝の間に吸い上げた水や葉っぱの養分の行き来を減らす「離層」ができ、クロロフィルの分解が先に進むことにより、残ったカロチノイド(黄色)が目立ったり、アントシアニン(赤色)が形成されたりで色が変わるとのこと。

尾根伝いの遊歩道の両側には植樹された多数のサクラの木が見られ、春先にはさぞかし見応えのある景色になるのではと想像させられました。その後稜線を少し歩き過ぎて国道16号に出ましたが、最後の目的地である少林寺(曹洞宗)を訪れ、八王子駅までバスで戻ってこの日の研修を終了しました。

なお、如水会会報2月号の植樹会通信に加地俊彦さん(昭50・経)の学外研修寄稿文が掲載されますので、皆さま是非ご一読ください。

(村上 仁・昭52法)