「学生班主催の交流会を経験して」法学部2年 増田実佳
国立で一人暮らしを始めて2回目の冬がやってきました。親元を離れた生活も、毎日の家事にも大分慣れてきましたが、それでもたまに母の作ったご飯が食べたくなるときがあります。大学生の一人暮らしは(きっと私だけではないと思うのですが)、カレーや煮物などにメニューが偏りがちで、レパートリーも多くはありません。そういった生活を送っているとどうしても旬や季節の物を口にする機会はなく、またどう調理をしたらいいのかわからず購入することはほとんどないでしょう。
毎年12月は学生班が懇親会を担当しています。例年お鍋を提供していましたが、今年は会場の関係上コンロが使用できず、お鍋が提供できなくなってしまいました。「冬らしいもの」を限られた条件の中で提供するにはどうしたらいいのだろう…他の学生理事たちと途方に暮れたのを今でもよく覚えています。
考えても名案は思いつかず、毎年お世話になっている谷保の「とれたの」を訪ねることにしました。「とれたの」は一橋大学のゼミ発祥の地域密着型のお店で、現在はPro-kというサークルが運営しています。国立の野菜や学生が開発した食品を取り扱っている、地域に愛されているお店です。店頭には様々な野菜が並び、見たことのないものも多くありました。店員の方に事情を説明したところ、調理も簡単な旬の野菜を使ってはどうか、と提案されました。紹介してくださったのは「紅芯大根」と「衣かつぎ」で、どちらも私にとっては初めて見る野菜でした。紅芯大根は中国の野菜だそうで、見た目は普通の大根と変わりないのですが芯が赤く、大根特有の辛さがあまりありません。衣かつぎは小さい里芋のような見た目で、醤油や塩をつけるとお酒ともよく合うとのことでした。普段あまり季節の野菜を意識したり食べたりすることのない学生にも、たまには旬のものを食べてほしい、と思い今回の懇親会でこの2つの野菜を提供することにしました。
当日は、甘酒、前日から学生理事で仕込んだ紅芯大根の甘酢漬けと衣かつぎを蒸したものを出しました。また、とれたのとフェアトレードサークルラ・ポンテによる出張販売もあり、とても賑やかでした。生憎のお天気で作業自体はできませんでしたが、提供したメニューはご好評をいただき嬉しかったです。
国立の寒さはこれからまた一層厳しくなるのでしょう。季節の物をなるべく日頃から取り入れた食事を通して、健康にも気を使わなければと感じました。まずはレシピ本を買うところから始めたいと思います。彩り豊かな食卓への道のりはまだ遠そうです…。