「一橋祭「環境」シンポジウムレポート」 寄稿者等(卒業年次または寄稿時学年) 谷 和久 (昭37社)

一橋祭「環境」シンポジウムレポート

僕とタヌキと緑の生きる道
~国立キャンパスに学ぶ都市の環境問題~

一橋祭は今年も好天に恵まれ、国立市はじめ近郊の多数の市民の参加をえて盛大に開催されました。初日の3日にはキャンパスの自然の保全と育成に取り組む一橋植樹会の紹介と都市環境問題への関心の高揚をめざして、環境問題シンポジウムが始めての試みとして、一橋祭運営委員会主催で開催されました。

講演中の福嶋先生

初めての試みでもあり参加者が集まるか心配しましたが、多数の市民、学生の出席をえて、環境問題への関心の高さが 実証されました。人と自然、特に人と植物とがよりよい形で共存することをテーマとした研究分野で活躍中の東京農工大学教授福嶋司先生の基調講演に始まり、加納誠三一橋植樹会会長、伊藤正秀一橋大学施設課課長代理による、植樹会の活動報告、キャンパスの自然保護の長期計画である緑地基本計画の紹介が続きました。この後出席者との熱心な質疑が行われ、シンポジウムは所期の目的を達成することができました。

福嶋先生の基調講演でも指摘されたのは、地球規模による環境の悪化に伴い、豊かだった日本の森林も、徐々に面積を減少し、日本の代表的ブナ林は今世紀中に生育地域の変化とそれに伴う面積の減少という深刻な事態に直面していくということです。このほか東京都や多摩地区での緑比率の減少、外来植物の進入による緑の質の低下などが指摘され、ブナ林や湿原などの植物群落の保護や武蔵野の雑木林やススキ草原、都市の林などの復元の重要性が喚起されました。 一橋植樹会の活動はまだまだ小さい運動の域を出ていませんが、教職員、学生、大学OB、が一同に会して環境マインドを高めながら、汗を流して作業に取り組む活動が、将来大きな広がりをしていくことが期待されています。

今回このようなシンポジウムが学生の主体的な意思で実現できたことは非常にすばらしいことであると思います。

谷 記

一橋祭「環境シンポジウム」パンフレット挿入文

一橋祭企画の「環境シンポジウム」に一橋植樹会の参加を要請されたことを嬉しくかつ光栄に思います。
植樹会は3年程前から、従来の「母校に木を植える会」から「母校のキャンパスの森の整備、保全を図る為のボランティア作業を行う会」に方針転換しました。そしてこの活動を、大学OBだけでなく、教職員、学生も加わった三位一体で推進する努力を続けています。作業に参加した全員が汗を流すことにより「環境」に対する意識を強めてくれることを期待している次第です。
今年5月大学の招聘で来日され一橋大学名誉博士になられた世界的に有名な環境問題の泰斗であられる、レスター・ブラウン氏は我々植樹会の活動に賞賛の意を表せられ自ら植樹会の特別会員になられることを快諾されました。
「環境問題」は人類の最大テーマの一つになっています。一橋祭でも従来から「環境委員会」が設けられ「DRP」運動が行われてきました。植樹会としてもこれに賛同し、ささやかではありますが財政支援を行っています。そして今回はこの企画の様な新しい「草の根運動」が学生諸君の中から芽生えたことは非常に素晴らしいことだと感激しています。
シンポジウムの成功を期待するとともに、今後大学全体がますます「環境マインド」を高めるご努力をして頂けたらと祈念する次第です。