ハシブトガラス

ハシブトガラス  (コウノトリ目サギ科) 全長57.5cm 留鳥

ハシブトガラス
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全域
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ゴミを漁ったり、ゴルフボールを集めたり、電線で大車輪をしたり、と何かと話題の多いカラスですが、カラスにも色々な種類がいるというと意外に思う方が少なからずいます。首都圏で普通に見られるカラスには、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種がいます。嘴が太くて額が出っ張っていて「カァーカァー」と鳴くのがハシブトガラス、嘴が細めで額のラインがなめらかで「ガァーガァー」と濁った声で鳴くのがハシボソガラスです。都心で見られるカラスの9割はハシブトガラスだと言われ、ゴミ漁りで問題になっているのは、大抵はこちらのようです。

ゴミ漁りをするハシブトガラスを見ていて、「彼らはゴミが臭くはないのだろうか?」と不思議に思っていました。犬や猫は嗅覚が非常に優れていますが、鳥類の多くは視覚主体に生活していて、嗅覚はさほど発達していないそうです。ですから、真夏でも元気に食料を求めてゴミ袋を食いちぎっているというわけなのです。

現代の我々にとっては、カラスというと風流さの欠片もないように感じてしまいますが、実は日本画にはしばしば登場しています。金屏風の全面に、群れるカラスだけを描いた作品もあります。いかに墨一色で体の立体感を出し、単調にならずに画面をまとめるかが画家の腕の見せ所なのでしょう。

そんな実は風流なカラスですが、大学内ではハシブトガラス・ハシボソガラスともに普通に見ることができます。黒一色で暑苦しいような彼らも、よく見ると羽に美しい金属光沢があったり、出会うカラスが皆、暑さのあまり口を開けていたりするのを見ると、何となく微笑ましく愛らしく思えてきます。

言語社会研究科修士1年 中野晶子