コゲラ (キツツキ目キツツキ科) 全長15㎝ 留鳥
一橋大学内で見られる3種のキツツキのうち、一番小さく最も目にする機会の多いのがコゲラです。「ギィー、ギィー」と鳴きながら波型に飛ぶ姿は大学内のあちこちで見られますが、体の色が木にそっくりなため、一旦木に止まってしまうと見つけにくくなります。国立市のお隣、小平市の市の鳥でもあるコゲラは、キジバトなどと同様に山野から都会に進出してきた鳥で、住宅地や公園でも観察できます。都市の鳥らしくあまり人を恐れないようで、大学内でも、行き交う学生や自転車のそばをすり抜けて木の幹の手が届きそうな場所に止まることもしばしばです。自分の保護色に自信があるのかもしれません。雌雄はほぼ同色で、雄には目の後ろに赤い羽がありますが、目立たずなかなか見ることはできません。
ある日、日本経済統計情報センターの入り口横の池にシジュウカラの巣立ち雛が10羽以上とコゲラ・ヒヨドリが1羽ずつ同時に水浴びをしているのに遭遇したことがあります。ヒヨドリが傍若無人に水をはね散らかして浴びるのに対し、シジュウカラの雛たちはにぎやかに水辺に下りてぱぱっと水浴びし、コゲラは地面での行動が苦手な所為もあるのか慎重に池のふちに下りて丹念に浴びていました。それぞれの鳥の性格の違いがよく表れていて興味深いものでした。冬にはシジュウカラやエナガと混群を形成しますが、くるくると動き回るカラ類に比べ、おっとりタイプのコゲラは双眼鏡で捉えやすいでしょう。
コゲラのおすすめ観察ポイントは経済研究所と上記のセンターの間です。ここではアカゲラもアオゲラも観察したことがあり、どうやらキツツキの好む森であるようです。この森に入ってじっと待っていると、シジュウカラの声に混じって「コンコン」とコゲラが木の枝や幹をつつく音がします。音のするほうを見上げると、木屑をぱらぱらと落としながらコンパスで描いたような丸い穴を穿っています。こんなに小さくてもやはりキツツキなのだなあ、と納得させられます。
法学部4年 中野晶子