2024年度一橋植樹会寄附講義「緑の科学」終了報告
今年度で13回目を迎えた「緑の科学」は、4月12日の第1回講義:ガイダンスとキャンパスツアー「桜の観察」に始まり、7月12日に全13回の講義日程を終了しました。講義は、学生達に自然を保全することの大切さを学び、認識を深めてもらうことに主眼を置き、母校キャンパスの緑の保全を原点としながら、植物と緑の関係、その生態と進化、森林生態系と森の生物、森や林の役割と人々の生活との関係などについての授業を行う一方、野外での自然観察や植生管理などの実体験にも重点を置いて行ないました。また、このため、受講生の定員を60名とし、講義中のチームを10班に分けて行いました。
そのような中で、今年の主要課題となったのは、国立キャンパスの緑による二酸化炭素の固定量の推定です。推定にあたっては、「フェルミ推定と二酸化炭素の固定」という筒井先生の講義に従い、学生達は、チーム毎に、この実際に調査することが難しい作業に挑戦しました。「環境報告書」などから得られるキャンパスの緑に関するデータや環境省や林野庁から得られるデータなどの限られた情報をもとに、論理的に推論し、限られた時間で推定する作業です。
6月21日の受講生による中間発表を経て、7月12日の最終講義では各班が6分の持ち時間で推定の基礎となった情報、仮定やその論理的根拠について発表を行い、その結果を競いました。講義には中野聡学長に出席いただけました。各班から発表された結果は使用データや仮定の違いからかなりの差が生じましたが、年間500トン前後というのが多かったようです。筒井先生の提案を基に、今回の発表に対して植樹会から学生表彰を行うこととなりました。藤元先生、筒井先生とともに、一橋植樹会員10名にも評価に参加いただき、最終的に最優秀賞、優秀賞、敢闘賞が決まり、表彰状と一橋植樹会から寄贈された図書カードが受賞者に贈呈されました。
表彰後に中野学長からご講評をいただき、「緑の科学は最も重要な講義の一つ」というコメントを頂戴し、また受講生の頑張りにエールを送っていただきました。今回のこのテーマは、中野学長と筒井先生との、国立キャンパスの二酸化炭素の固定量の推定の話に起因するものとお聞きしており、学内的にも学外的にも、一橋キャンパスの緑の大切さを改めて見極める一矢となる、意義あるものとあらためて感じました。