「一橋植樹会への思い出」文部科学省大臣官房文教施設企画部施設企画課 専門官 山本聖一郎
一橋植樹会の皆さんこんにちわ。
私は文部科学省大臣官房文教施設企画部施設企画課というところにおります、山本聖一郎と申します。元一橋大学職員として文科省に異動してからも、緑地保全作業に参加する機会を見計らっておりましたが、ようやく先日12月18日に有休を取って実現することができました。懐かしい方々とも久々に再会でき、とても楽しいひとときを過ごすことができ誠にありがとうございました。
さて、せっかくの機会を頂戴したのでここでは、今から6年前に、歴史ある一橋植樹会の活動がダイナミックに舵を切った時期に、大学職員として関わってきた背景について私の記憶をたどりながら思い出を話しさせていただきたいと思います。
私が一橋大学施設課長に赴任して間もない、平成15年4月24日に突然学長室に呼び出され、当時の石学長から「永年手つかずとなっている大学キャンパスの緑地を甦らせたい、また兼松講堂周辺のヒマラヤ杉も何とかしたい。」と切り出されました。キャンパスの緑地、特に樹木の伐採などはとてもデリケートな問題として、どこの大学でも尻込みしているところが少なくありません、続いて学長から「そのために専門家の意見を聞いて、緑地管理方法を論理的に説明できる根拠を取りまとめたい」ので施設課が協力してほしいとのことでした。おそらくこの数日前に故岸田会長と田中政彦さんが植樹会として同様の趣旨で提言に来られたと思います。
5月15日に再び学長室に呼ばれ、そこには田﨑先生と、この日初めてお会いすることとなる東京農工大学の福嶋先生がいらっしゃいました。福嶋先生からは、一橋大学の緑地は、自然植生の特性に合わせて管理方法を段階別にⅠ~Ⅵのゾーニングすること、伐採樹木は敷地内で処理し、環境への負荷を与えないゼロエミッションの考え方を示され、その後さらにゾーンごとに特記事項を記録した「緑のカルテづくり」が提案され、このとき既に緑地管理のアウトラインができあがっていました。
6月26日に福嶋先生、田﨑先生、植樹会(2名)、田んぼの会及び施設課で初の緑地調査を実施、1ヶ月後の7月25日には、記念すべき一橋植樹会による第1回緑地作業が行われました。この後、数ヶ月かけて福嶋先生と施設課の伊藤さんと坪谷君の奮闘により「一橋大学緑地基本計画」を完成させたのです。
この時期、折しも「兼松講堂平成の大改修」の竣功を控えており、我が国を代表する建築家伊藤忠太設計による素晴らしい外観の景観を阻害していた、樹齢70年のヒマラヤ杉を伐採するという勇気ある決断を下すこととなりました。当然ながら一部の反対運動もありましたが、伐採したヒマラヤ杉を活かすべく、ウッドチップにして兼松講堂周辺に敷き詰めることと、丸太のままでベンチを設えて設置することを提案しました。お陰で大雨でもウッドチップがぬかるみを解消してくれて、また丸太のベンチについては、今年封切られた映画「容疑者Xの献身」のロケで、主演の福山雅治君と柴咲コウちゃんが座ってくれるというオマケ付きで嬉しい気持ちにさせてもらいました。
一橋植樹会の会員も1000名を超えたとお聞きしました。あれから6年経過しましたが、緑地保全作業はもちろん広報・研修活動や学生を含めたネットワークも活発化し、とても素晴らしいことと感心しております。組織が大きくなるといろいろ面倒なことも頭をもたげてくるかと思いますが、ぜひ経験豊富な皆さまの知恵と勇気で今後とも一橋植樹会がますます発展することを期待しております。そしてまた、草刈りにお邪魔させて戴きたいと思います。