「植樹会に参加して」KODAIRA祭実行委員 臼杵里恵(経1年)

季節外れの寒空の下、KODAIRA祭実行委員として職員集会所に向かう道中で私は初めて植樹会が何であるか、そして今回の作業がどのようなものか、を教えられました。それまで私は実行委員に配られたスケジュール表にあった「植樹会」という三文字を、KODAIRA祭に際して記念植樹でもするのだろうかと思っていたのです。ですから初めて職員集会所に足を踏み入れてから全体への作業説明が始まるまでずっと、私は予想外の事態に戸惑いを隠しきれていなかったと思います。

着替えと記名を終え、きょろきょろと辺りを見回しながら話していた私達のところにOBの方がいらっしゃり「山菜採りは誰がやるんだい、天ぷらにする山菜は」と言われました。ここで再び私達は顔を見合わせました。山菜の天ぷらなんて一言も聞いていない。しかし、キャンパス内にも山菜が自生しているなんて、こんな面白そうな話はない。学生からは2名ということで、私ともう一人、鈴木君が手を挙げ、作業説明と準備体操の後いよいよ私達は作業に繰り出したのです。

職員集会所を出てすぐの所から採集は始められました。何気なく歩いていた道の脇に、こんなにも食べられる野草があったなんて。カラスノエンドウ、ヨモギ、ヤブニンジン…。桜の花も採りました。山菜の種類毎に分けられたビニール袋はみるみるうちに一杯になり、種類も25種になったかと思います。

山菜採り

第一講義棟の裏からキャンパスの南西の端を周り、1時間強の作業はあっという間に終わりました。小雨も降る中、軍手の下の指先はかじかみましたが、そんなことも気にならないほど面白い作業でした。また、普段とても来ないような緑深い小径を通り、まだ入学から半月しか経っていない私は思いがけずキャンパスの新しい一面を知ったような気持ちになったのでした。

やがて私達は職員集会所に戻ってきました。採集した山菜をキッチンに届けると、OBの方の奥様方が調理を始めていらっしゃいました。雑草取りをしている他のグループは未だ戻って来ていないようだったので、私と鈴木君は何かできることがないか伺って、天つゆ用に大根をおろし、続いて洗った山菜の水を切る作業を手伝いました。

先輩や奥様方に比べれば手際は悪かったかもしれませんが、これほど沢山のものの水気を切らなければならないことは普段ないので作業に携われることに充実感を感じたのでした。鈴木君が授業の為に途中で出て行き、キッチンには1年生が私しかいないことにようやく気がついた丁度その時、先輩が「1年生はもう食べに行っていいよ」と声をかけて下さり、私はキッチンを後にしました。

天ぷらはそこで採ってきた山菜とはすぐ思えないほど味わい深く、また同級生だけでなく先輩やOBの皆様と親交を深めることができ、本当に貴重な時間を過ごすことができたと思います。自分たちで採ってきた山菜を1時間後に美味しく頂けることには、一種の感動を覚えました。何も分からずに参加したのですが、来て良かったと心から感じました。