「LET’S GREEN & CLEAN 運動」

一橋植樹会 会長 加納誠三

昭和48年に最初の定款が作成され、去る四月に34回目の総会を開催した植樹会は、長い歴史と伝統に支えられております。卒業生有志が任意の団体としてこの会を設立し、会員の寄付金により毎年大学に苗木を寄贈するという母校愛に満ちた行為は、他校には滅多に見られない一橋ならではの素晴らしさであります。
この永年の植樹活動(GREEN)から整備運動(CLEAN)中心の活動に方針を転換したのが約4年前になります。国立キャンパスの緑の荒廃を憂慮した人達が立ち上がり、ボランティア作業による整備・美化の勤労奉仕を始めたのです。時を同じくして大学側も外部の専門家を招いて「国立キャンパス緑地基本計画」を策定しました。我々の作業の海図とも言える内容の濃い長期計画書です。

そしてこの奉仕作業を教職員、学生にも参加してもらい三位一体で、共同して行なうという誠にユニークな運動に展開されたのであります。過去40回近く行なった作業は、大学側が実施した外部専門業者よる整備作業と相俟って、キャンパスの緑地は大変綺麗なっています。同じコメントをする外部の方々が増えていると耳にするにつけ嬉しく感じています。
昨年一橋大学名誉博士号を授与された世界的に著名な環境問題の泰斗レスター・ブラウン氏が我々の活動を「世界に類をみない貴重な草の根運動である」と評価され、自ら入会を申し出て下さるという我々にとって名誉な出来事もありました。

そして会員総数もかっての100名前後から急増し650名を越える組織に成長しております。ご賛同下さった方々への感謝の念と同時に、大きな責任を負って会の運営に当たらねばならないと肝に銘じております。
この様に植樹会の活動内容が広がったため「名は体を表す」名称が必要だということになり頭記の英語をキャッチフレーズと定め「一橋植樹会」に併記することにしました。そして会のロゴも新しくし、同時にマーキュリーマークをあしらった紋章も作りました。明るい緑色を基調とした晴れやかなものです。ボランティア作業時のウエアーその他にこのロゴや紋章を使うことによりアイデンティティを高めると共に参加意識の向上に役立てばと期待しています。

さて「CLEAN」面の活動がクローズアップされている中で、伝統の「GREEN」面も復活して来ています。財政面の余裕が出来たお陰で久し振りに植樹を行ないました。西キャンパス西南の角地での桜、寒椿です。予算を決めて継続していきたいと思っています。

さらに特筆すべきことは昨年度の卒業生有志が第一回卒業記念植樹を実現してくれたことです。短期間の募集活動にも拘らず120名を越える学生が参加して、シャクナゲ、カルミアを植樹しました。何年か後、これらの学生諸君が記念植樹を懐かしく想い出し、同時に植樹会にも思いを馳せてくれればと願っています。植樹会支援のこの記念事業も継続していく方針です。

最後に植樹会の組織に関し一言触れたいと思います。卒業生と大学職員の会員が充実して来ている中、今後の会の発展は教員と学生に負うところが大です。教員の方々には我々の活動理念をよりよく理解していただく工夫を凝らし地道な努力をして行く所存です。一方学生に関しては過去四年間の試行錯誤の中で意思の疎通が改善している手応えを感じています。今回の総会で5人の三年生学生が理事に就任しました。これで三代目の学生理事誕生となります。5人全員が自ら進んで志願して学生全体の窓口の役割を果たしてくれます。誠に心強い限りです。六月のKODAIRA祭の前に一・二年生が中心の東キャンパスの清掃作業を企画してくれました。学生諸君がキャンパスの緑化整備に汗を流してくれることは単に物理的な清掃効果以上の意味があると思っています。

卒業生、学生、それに教職員が一体となって大学のことを想う心、仮にそれが緑化整備の分野だけだとしても「オール一橋人」にとっての一つの精神運動ではないでしょうか。その夢のような役割の一端を果たすべく微力ながら植樹会は進んでいきたいと思っています。

以上