「一橋という贅沢を味わう」社会学部4年 岡田航汰
4年生になって、それほどたくさんの授業も履修していないのでその必要はないのですが、今でもたいてい、週に2・3回は大学に通います。
ゼミに参加するのはもちろん、図書館で卒業論文のための研究をしたり、趣味になりつつあるプログラミングの勉強をしたり、友人と話をしながらご飯を食べたりと自分のための時間をキャンパスで過ごしています。
一橋大学に入学したばかりの頃、僕はこの大学に通うことがとても贅沢なことのように感じていました。文化財の幾つもある空間に当然のように足を運び、緑豊かなキャンパスを歩き、歴史ある建物の中で時間を過ごすことは、実際にやっているほど「当然」のことには思えません。一橋大学という(用途も権威もまるで明らかな)空間に足を運ぶこと自体、ある意味で日常的ではない「学問」の領域に踏み入るための儀礼的な性質を帯びているように感じます。それでなくても、一橋大学には学びに注力するための施設が十分整っていて、自宅で落ち着いて過ごすのとは違った集中力を得られます。(気軽に時間を過ごせる、暖房の効いた部屋がもう少しあれば冬場はもっと素晴らしいと思いますが…(笑))。
そういう意味で、現在の自分の生活はとても贅沢です。比較的時間を自由に使える中、あえて大学に通うことは自分自身を「学び」のモードへと切り替えることに他なりません。「場」の要請に従って、普段読まないような難易度の専門書を手に取る勇気が湧きますし、せっかくの貴重な時間を無駄にするより、有意義に使おうと志を高くします。世間的な焦りのような感覚を含まない、普段とはまた別の関係性の中に身を浸して過ごすこの時間は、やっぱりとても贅沢なのではないでしょうか。
自他共に認めることに、僕はバタバタと忙しく過ごすのが性に合っているのですが、これから残り少ない大学生活をこのキャンパスで満喫することで、そんな「贅沢のわかる」大人に少しでも近づけたら素敵だと思います。